世界同時MMT 2020 7 26

 多くの政治家は、経済のV字回復を目指すと言いますが、
新型コロナウイルスが収束した時に、
すでに多くの企業が倒産していたら、
V字回復をする主役が存在しないということになります。
 たとえば、老舗旅館や名門ホテルの廃業や倒産が相次ぐと、
ウイルスが収束した時に、観光業のV字回復はあり得ず、
経済の「L字」は見えています。

書名 MMTが日本を救う
著者 森永 康平  宝島社新書

 この本で、MMT(現代貨幣理論)に対する誤解や批判を、
著者が次々と論破していきます。
 まず、最初に重要なことは、
「誰かの黒字は、他の誰かの赤字である」ということです。
これは、会計学の知識があれば、すぐに理解できるでしょう。
 たとえば、政府が財政黒字ならば、民間部門が赤字であるということです。
つまり、政府が財政黒字を目指せば、民間部門は赤字を目指すことになる。
言い換えれば、民間部門は苦しくなるということです。
 実は、MMT全体を通して、会計学に寄っていると思います。
会計学の知識がある人がMMTを聞けば、異論が少ないと思いますが、
おそらく会計学の知識が少ない経済学者から異論が続出するでしょう。
 ところで、MMTは、財政論のように思われますが、
実は、その名前のとおり貨幣論でしょう。
 さて、現代における貨幣とは、紙幣のことでしょう。
丈夫な紙に美しい印刷が施してありますが、
これが、なぜ価値を持っているのか。
 いくら印刷が美しいと言っても、最近は大量生産しているので、
1万円札でも、その価値は、せいぜい100円程度でしょう。
なぜ、100円程度の紙が10,000円の価値を持つか。
 それは、その紙で納税ができるからです。
つまり、美しい印刷物を通貨にしている原動力は、納税ができるからです。
 ここが金貨と違うところです。
金貨は、たとえ納税ができなくても、その希少性から価値があるのです。
 ただし、MMTについては、気になることがあります。
ビットコインなどの暗号通貨で納税ができるとなると、
MMT理論の修正が必要かもしれません。
 ビットコインは、中央銀行が関与せず、発行主体がないのです。
だからこそ、政府・中央銀行の「統合政府」は、目の敵にするのかもしれません。
 将来、暗号通貨が普及して、ブロックチェーンが社会のインフラになれば、
理論的には、「一人政府」も出現するのかもしれません。
 さて、話がそれました。
従来は、政府の収入は、税収でしたが、
MMTにおいては、政府の収入は、税収ではありません。
税とは、労働生産性の維持と、紙を通貨にする原動力です。
 もう一度書きますが、
誰かが黒字ならば、他の誰かが赤字であるということです。
 政府は、デフレの時は財政拡大をすべきであり、
インフレの時は、緊縮財政をすべきです。
この逆をやったら、どうなるか。
それは、みなさん、実感をしているでしょう。
 経済には、政府部門と民間部門の二つしかありません。
誰かが黒字を目指せば、他の誰かが赤字を目指さぜるを得ません。
 もちろん、未来において、政府が存在しない国家があり得るのかもしれません。
暗号通貨の普及とブロックチェーンが社会のインフラになると、
「そもそも、政府は必要なのか」という議論が出てきてしまうかもしれません。
 話がそれましたが、
今は、新型コロナウイルス流行という非常事態なので、
MMTで雇用を守るべきです。
 しかし、日本だけがMMTを実施するのは無理であり、
主要国が協調して「世界同時MMT」を実施する時です。

MMTとコロナ 2020 7 23 Marine Day

 今日は、新型コロナウイルスに関連する話ですが、
国の財政について書きましょう。
 経済規制や営業自粛によって、
多くの事業者が苦境に陥っています。
 新型コロナウイルスが収束が見通せない現状では、
政府が多くの事業者に対して金銭的な支援することによって、
事業者の倒産を防ぐ必要があります。
 しかしながら、政府も無尽蔵に資金があるわけでなく、
政府も、お金に困っている状態にあるはずです。
なぜならば、政府の収入は、税金と借金に依存するからです。
 このような悩みを解決するために、
昨年から、MMT(現代貨幣理論)が言われています。

書名 これから世界で起きる4つのこと
著者 高島 康司  徳間書店

 著者によると、「MMTの基本は、
中央銀行は通貨の発行権を持っているのだから、
必要な時に必要な分だけ通貨を発行して財政支出をすればよい。
だから、政府の財政は、国民から徴収した税には依存しないとする論理である。
 通貨の発行権がある限り、国民から税を徴収する必要性はない。
税の徴収の意味は、税を払うために労働せざるを得ない環境に国民を置くことで、
経済の労働生産性を維持する目的がある。
税が財政の基盤ではない」という。
 なるほど、「バラ色」の財政理論です。
しかし、一国のみがMMTを採用すると、
その国の通貨は売られ、通貨安となる可能性があります。
 ところが、現在、「世界同時コロナ」という状態です。
主要国が協調して、MMTを採用すれば、やはり「バラ色」か。
 しかし、「無国籍通貨」である金(Gold)の存在があります。
各国がMMTを採用すれば、金が高騰する可能性があります。
 さらに、事業者や個人が金銭的に政府に依存するようになると、
これは、資本主義とは言えず、姿形を変えた「社会主義」の出現となるでしょう。
 しかし、「小さな政府」は、新型コロナウイルスに無力です。
やはり、時限的に「大きな政府」にせざるを得ませんが、
もし、新型コロナウイルスの流行が長期に渡ると、
「大きな政府」が「常態」となるでしょう。
 21世紀は、社会主義の時代となるのか。
確かに、疫病の流行や大災害の頻発が続くと、
「小さな政府」と「資本主義経済」は難しいかもしれません。
 しかし、インターネットという「仮想空間」は、
疫病や大災害とは無縁ですので、
仮想空間では、「資本主義経済」が続き、
一方、現実空間では、「大きな政府」と「社会主義」が続くかもしれません。














































































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